俗に「US Navy のベーカーパンツ」などと呼ばれる古着を元に作りました。(以下、わかりやすく USN ベーカー) 右ページ、オリジナルをトレースしてみると全体のシルエットは「Trousers,Cotton,Sateen」、いわゆるベーカーと非常に よく似ている。 いわゆるベーカーはダーツが無く、ウェストボタンで絞ってダーツ代わりにしているのを、USN ベーカー は背面にダーツが有る。 フロントのポケットも形は似ていますが、USN ベーカーは裏側にたたきつけ。 帯部分も普通のベーカーは身頃がそのまま続いていて、裏側に見返しがつくところ、USN ベーカーは別パーツが帯状に つく。 後ろポケットも USN ベーカーはフラップ無し・・・と似ているようで微妙に仕様が違います。 ただ、フロントの ポケットの形状がよく似ている事、過去見つかったデッドストックの個体に US Navy の軍ものでおなじみのラベルがつ ていたため「US Navy のベーカー」などと呼ばれるのでしょう。 素材、デニムは 10 オンス。 ヨコ糸にブラウンがかった色味をつけているので、全体的にどす黒く見える。 古いミリタリー デニムで見る仕様で、果たしてヨコ糸に色をわざわざつけたのか、それとも色がついているワタで作った糸だったから色 がついて「しまった」のかはわかりません。 が、確かに古いミリタリーデニムを見ると、全体がどす黒い。 沈んだ色調で、 多少汚れても目立たない。 そんな生地を真似して作った「Brown Back Denim」。 バックサテンはいつものベーカーでおなじみ。 元々は 15 年ほど前に、私がとある生地屋さんのとある人に、オリジナルの MIL-C-10296J というスペックを参考に作ってもらったもの。 生地の重さおよび、1 インチ当たりの糸の本数、糸の交差仕方。 糸はカード糸を使う、といったスペックに書いてる事を参考にして、 当時は硫化染料で生地染しました。 当初は異様に色落ちする硫化染料だったのが、染料が廃番になり、今度は色落ちしにくい硫化染料に。 さらに、硫化染料 自体がほとんど使われなくなり、今ではスレン染めになりました。 スレン染めは一般的に色落ちはしにくいですが、パッカリングが出た部分がこすれ、生地 が摩耗してくると毛羽が立って陰影は出てきます。 全体が白っぽくはならず、メリハリのある陰影が出てくる雰囲気です。 Vintage Fit は参考にしたオリジナルそのまま、裾幅 25 センチ。 足に生地がまとわりつかないので涼しい。 Slim Fit は腰回りは Vintage Fit とまったく同じ。 股から下を細く、裾幅 20 センチのこの形にしては「Slim」と呼べるラインにしています。 右ページは参考にしたオリジナル個体。 残念ながら、ラベルなどはついておらず「USN の個体」と特定はできませんが、デッドストックで見たことがあるものと仕様は同じ。 フロントの裏貼り付けポケット、背面のダーツ、フラップの無いポケット。 ステッチ色もおそらく、最初はデニムとほぼ同系色だったは ずが、デニムの色落ち・縫い糸の色落ちに差があるので濃淡が出てなんとも良い雰囲気。 細めのループもこの手のミリタリーパンツでよく見かけます。 これ が岡山には 20 年程前にはほとんどありませんでした。 皆、もっと太い、ジーンズ用のループしかない。 ここがちょっと変わるだけで雰囲気がガラッと「本物」っぽくなる。 当時、縫製工場に勤めていた私は社長・専務に頼んで専用のループ縫いミシンを買ってもらい色々なブランドさんに営業しました。 懐かしい。 のちに、自分でメーカーをやるようになってからも、工場さんごとに一台買っていたので、一時期は三台も用意していました。 今でも一台貸出、一台は 会社に転がっています。 WORKERS カタログ抜粋 |